松嶋シェフに聞く!「結婚式の料理へのこだわり」とは?
南仏・ニースに本店を構え、本場フランスでミシュラン一ツ星を10年間守り続ける腕利きシェフ・松嶋啓介氏。今回は松嶋シェフの結婚式の料理へのこだわりについてお聞きしました。松嶋シェフが作る結婚式のメニューには、どのようなこだわりが詰まっているのでしょうか。
出典:gensen wedding | keisuke matsushima
1.まず素材ありき、季節ありき。だから、通年メニューというのは存在しない
最新トレンド発信地・原宿で、大通りの喧騒を忘れさせる緑豊かなロケーションにあるレストラン『keisuke matsushima』。コンテンポラリーなニース料理を肩ひじ張らずに楽しめ、ウエディングステージとしても人気を集めています。そんなレストランのシェフ、松嶋啓介氏に結婚式の料理へのこだわりを伺いました。
ー結婚式会場の多くは、年間を通して同じメニューが用意され、そこから予算に合わせてコースを選んでいきますが、松嶋シェフのレストランでは通年メニューというのは存在しないのですよね?
松嶋啓介シェフ(以下、松嶋)keisuke matsushimaでは、通常のレストラン営業と同様に結婚式でも、まず素材ありき、季節ありきでメニューを考えています。季節によって、最高に美味しくなる食材=旬があるものです。春だったら春野菜といわれるもの、例えばアスパラや桜色の桜鯛があります。夏になるとズッキーニやナス、トマトが旬ですよね。また、夏は仔羊が美味しくなるので、それを使ったメニューを作ります。秋になっていけば、キノコが旬になるので、キノコに鴨をあわせたメニューを考えます。そして冬には、旬のトリュフを出したり、より美味しくなるネギを組み込んだりしていますね。
出典:gensen wedding | keisuke matsushima
— なるほど、結婚式でも提供されるメニューは季節ごとに違うということですか?
松嶋 提供するメニューも食材の状態によります。半年後、一年後の結婚式に合わせて、大体のメニュー予測はできますが、その時々の天候によってできないこともあるのが料理です。
例えば、去年の3月には出回っていたグリンピースが今年はまだ出て来ていません。毎年少しずつズレるんです。また、仕入れの状況でどうしても魚が手に入らなかったり……ということもあります。こだわればこだわるほど、予測通りにはいかなくなるんです。そこはお客様に事前にしっかり説明して、ご理解いただくようにしています。
出典:gensen wedding | keisuke matsushima
2.最終的なメニュー決定は、結婚式当日の10日前!旬のものを使うことにとことんこだわる
— 予測通りにはいかないとのことですが、そうすると結婚式の直前までどの食材が手に入るかわからないということですよね。では、結婚式のメニューが決まるのはいつごろになるのでしょう?
松嶋 最終的に「このメニューでいける」と判断できるのは結婚式の約10日前ですね。それは、その時の最高の旬の味や香りを楽しんでもらいたいということと、その味や香りを新郎新婦の門出の記憶として残したいと思っているからなんです。
例えば、結婚式から1年たったあと、結婚式に招待されたゲストがその日と同じ食材を口にした時に「そういえば、あの結婚式で食べたアスパラ美味しかったな。あの二人は元気かな」と思ってくれる。そんな友人がいたら、嬉しいじゃないですか。それがきっかけで友人から久しぶりに電話がかかってきて、「1周年おめでとう」とか「よく覚えててくれたな」なんて会話の後に、「あの日食べたアスパラ、美味しかったよね」という話をしてくれたら、新郎新婦にとってこんなにハッピーな話はないと思いません?
結婚式の日付ももちろん大切ですけど、人は季節と共に生きているので、その季節と連動した記憶を刷り込ませた方がその印象は強まると思っています。なので、季節と連動した記憶をメニューの中に入れ込みたいと考えているんです。
— まさに二人の結婚式のための特別なメニューになりますね。
松嶋 そうです。それに、結婚式の料理がパッケージプランになってしまったら、面白くないと思いませんか?そうなったら、仕事する我々もつまらないですもん。メニューを決める時も、キッチンスタッフ全員に「はい、みんな参加!」と集合させて、新郎新婦と一緒に考えたりもします。私は「結婚式の列席者は二人の結婚の賛同者」だと考えているので、結婚式で出す料理は、列席の皆さんが二人の結婚を応援する気持ちをサポートする食事、という感覚で作っています。
出典:gensen wedding | keisuke matsushima
まとめ
通常の結婚式の料理は、一年中いつでも提供できる“通年メニュー”が常識。もしも二人が、「通年メニューではなく、その時に1番美味しい食材を使ったメニューでゲストをもてなしたい」など、料理にこだわりを持っているなら、レストランウエディングという選択肢を考えてみても良いでしょう。さらに、同じレストランでもシェフによってスタンスがまったく異なるので、ぜひシェフ個人のこだわりについても調べてみることをおすすめします。
今回お話を伺った松嶋シェフは、食材の地産地消・旬産旬消にとことんこだわりを持っている方。だからこそ、二人のための特別なメニューに仕上げてくれます。料理のメニューの最終判断が結婚式当日の約10日前なことにも頷けますよね。
さらに、keisuke matsushimaの料理は季節に紐づいたオリジナルメニューなので、毎年その季節が巡ってくる度、結婚式のことを思い出せるのではないでしょうか。
結婚式当日はもちろん、後日でも、料理や食材の感想をゲストが語ってくれるのは、二人の料理でのおもてなしが喜ばれたことでもあります。結婚式でのこだわりポイントが料理なら、シェフの食材やメニューにかける想いを聞き、自分たちらしい結婚式の料理を考えていくのもおすすめですよ。
出典:gensen wedding | keisuke matsushima